脊髄損傷はEDの原因となるか?
神経系は、私たちの体が円滑に機能するために欠かせない存在です。たとえば、脊髄損傷が起こると、脳と体のあいだの情報のやりとりが妨げられ、手足の部分的あるいは完全な麻痺を引き起こすことがあります。さらに、このような損傷はEDを招く可能性もあります。
脊髄損傷による性機能への影響
脊髄損傷は、脳と神経の連携に影響を及ぼす可能性があります。性機能を良好に保つためには、神経系全体が健全に働いていることが重要です。EDは脊髄損傷の程度に関係しており、損傷が軽度であれば、性的機能が保たれる可能性も高くなります。一方で、損傷が重度の場合には、勃起が難しくなるだけでなく、射精にも影響が出ることがあります。射精には、神経、陰茎、そして脳が高度に連携して働く必要があるためです。
脊髄損傷があっても性的欲求を感じることはできますか?
脊髄損傷は、損傷の部位やその完全性(特に第2~第4仙髄の状態が重要)によって、脳による性的機能のコントロールに影響を与えることがあります。これにより、心理的および反射的な性的興奮の起こり方や、射精・オーガズムの有無にも変化が生じる可能性があります¹。
男性の場合、勃起・射精・オーガズムはそれぞれ異なる神経系によって制御されており、脊髄損傷によってそれらが個別に影響を受けることもあります。また、性的欲求にも変化が見られることがありますが、対処法やサポートの選択肢は多く存在するため、必要以上に不安を抱える必要はありません。
大切なのは、身体的にも心理的にもこれらの変化を受け入れ、自分らしく適応していくことです。そうすることで、これからの性生活も十分に充実し、満足のいくものになる可能性があります。
たとえば、以下のような取り組みが有効です。
- 新しい性感帯を探し、お互いをより深く理解する:快感は性器に限らず、体のさまざまな部位で感じることができます。お互いの身体をじっくり探りながら、新しい発見を楽しんでみましょう。
- 新しいアイデアに対してオープンな心を持つ:パートナーと率直に話し合いながら、これまで試したことのない方法や工夫に挑戦してみましょう。そこから新たな可能性が広がるかもしれません。
- 五感をフルに活用して興奮を高める:味覚(特定の食べ物)、聴覚(ムードを高める音楽)、触覚(身体のさまざまな部分に触れる)、視覚(パートナーの表情や魅力的なイメージ)など、五感を意識的に使って、感覚的なつながりを深めていきましょう。
心理的な要素は、性的な成長や満足において非常に大切な役割を果たします。セックスを「再び学ぶ」ことには、不安や戸惑いを感じることもあるかもしれません。しかし、心を開き、少しずつ前向きに向き合っていくことで、よりリラックスして楽しめるようになり、新たなかたちの満足や喜びを見つけられるはずです。
脊髄損傷によるEDを治療するには?
1: Krassioukov A, Elliott S.Neural Control and Physiology of Sexual Function: Effect of Spinal Cord Injury. Top Spinal Cord Inj Rehabil. 2017 Winter;23(1):1-10.